教育
学生参加型の授業組み立てを行います。
学習者が個人で学習できる部分はできる限り自己学習に任せ、授業では共通した問題の焦点化と説明に時間をかけたいと考えています。できる学習はまずは自分で行う、これはアクティブ・ラーニングという学習態度を養うものだと考えます。また、多数の学習者が同一の時間と空間を共有するという利点を最大限に生かして、会話のペア練習、読解力を深めるグループ討論、英作文やエッセイの読み合わせと口頭発表などを取り入れた学生参加型の刺激ある授業環境を作りたいと考えています。授業準備は当然のことですが、学生との相互作用や化学反応を生かした授業当日のライブ感も大事にします。
学習効果を意識させる授業を行います。
認知語用論の立場から、「学習効果」は3パターンしかないと考えます。まずは「新しい情報の獲得」です。これはおもに講義科目にあてはまりますが、外国語学習では語彙や文法の習得にあたります。知識の集合体(個人の認知環境)がゼロから+へと変わる効果です。2つ目は「学習者自身の想定の強化」です。予習段階での問題点への答え(想定)が、授業時にて正しいことがわかるというプロセスです。想定の確定度が90%から100%へと変わるこうした認知環境の変化は学習の大きな動機付けにもなります。最後は「学習者自身の想定の却下」です。これは「学習者自身の想定の強化」とは逆の認知環境の変化であり、確定度が90%くらいであった答え(想定)が授業時にて0%であることがわかることです。自身の想定の誤りが学習効果へと繋がるのは、誤りに遭遇した場合には人は同時に正解を求めるからです。外国語学習の学習効果ととりわけ深く関係する「想定の強化」と「想定の却下」を期待する場合、学習者の想定があらかじめ必要になります。つまり、予習などで自身の答えを用意していないと学習効果は期待できないことになります。
将来の国際的な場での活躍を考えながら指導します。
スポーツや芸術などの分野において、国際的な場でパフォーマンスを行う日本人が増えてきました。外国語学習を行う場合、その外国語をどこでどのように使ってパフォーマンスを行うかを想像することが学習の動機付けとなります。もちろん、世界のグローバル化はよい点ばかりではありません。英語だけが使えても国際人とは決して言えませんが、日本語よりもはるかに多くの人々に自身の考えや意思を伝達することができます。何かを伝えたいと強く思った場合、英語を用いる方が社会への影響力や反応は強いと言えます。授業では、書くことや話すことにおいて、学生が自分の考えを明確にかつ論理的に述べることを強く推進し、社会を変える発言者であることを期待しています。特に、人間環境学府教育システム専攻で開講している英語の論文ライティングやディスカッションの授業では、国際学会での発表の経験をもとに、国際学会での口頭発表やポスター発表を積極的に指導し、国際的な場での活躍のサポートを行います。
学生のニーズに基づいた教材開発を積極的に行います。
これまで15年近く教材開発に携わってきました。英語の共通教科書Passage to Englishでは、2000年の初版から2007年の第5版(最終版)まで執筆と編集を担当してきました。九州大学の1年生2700名全員に英語の知識や情報を伝える知的レベルの標準化というコンセプトは、ある意味で英語教育の責任というものの具現化でもありました。2009年から2011年にかけては、文法問題作成班としてweb教材で使用する文法問題の執筆と編集に関わりました。作成した問題は2014年度後期からパイロット的にCALL学習の練習問題として使用されます。2012-2013年は学内EEP (Enhanced Educational Project)の予算を獲得し、『九大英単』(研究社より発行)という語彙・表現集の執筆と編集を行いました。大学生の英単語集に対してはさまざまな意見があるかと思いますが、共通テキストとアクティブ・ラーニングの双方の理念が取り込まれた副教材だと考えています。さらに、2014-2015年の学内EEP予算獲得により、基幹教育と専門教育の外国語教育の橋渡しを行う領域横断型の英語読解聴解教材開発を行います。
学生の学習に寄り添っていきたいと思います。
実践的能力から専門的な分野までを広くカバーする英語学習者のアドバイザーでありたいと思っています。そうした機会をもつために週2回のオフィスアワーを設けています。授業や自身の英語学習の質問や相談はもちろんですが、希望があれば、資格試験対策や日々の英語学習への助言等のパーソナルトレーニングも行っています。また、毎年1月に行われる「外国語プレゼンテーション・コンテスト」への出場のサポートを積極的に行っています。テーマの設定から、エッセイのパラグラフ構成、内容へのコメント、プレゼンテーションの練習など、出場希望学生のニーズに合わせて指導を行っています。毎年正月をはさんだメールでのやり取りによるかなりタイトな指導になりますが、これまでの本戦出場者としては、2007年度に優勝、2008年度と2010年度にそれぞれ1名出場、2011年度は全出場者8名中4名を指導、2012年度は1名出場、2013年度は優秀賞を獲得しました。やり遂げた後の誇らしい学生の顔を見ると、一緒に頑張って来た苦労が一瞬にして報いられます。