九大から世界へ

korean
韓国語

韓国語とは

韓国語は「朝鮮語」とも呼ばれ,朝鮮半島を中心に話されている言語です。韓国や共和国(北朝鮮)のみならず,中国の延辺朝鮮族自治州でも公用語とされており,7,000万人以上の話者人口を有します。これはフランス語やイタリア語に匹敵するほどの数字です。

韓国語には様々な地域方言があり,言語学的には大きく6つに分けられますが,南北ともに標準語はソウル方言に基づいています。

文法的には日本語と類似した点が多くありますが,発音の面では日本語と大きく異なっています。
語彙は,出自の異なる「固有語」,「漢字語」,「外来語」,「混種語」の4つの語層から成り,この点でも日本語とよく似ています。
文字は「ハングル」と呼ばれる,15世紀に人工的に作られた表音文字を主に用いています。

韓国語を担当している専任教員

李相穆 准教授(韓国語教育・日本語教育・教育工学・教育心理学)
辻野 裕紀 准教授(言語学・韓国語学・韓国語史・日韓対照言語学)

九大で開講されている韓国語関連の講義一覧

韓国語Ⅰ
韓国語Ⅱ
韓国語Ⅲ
韓国語フォーラム
入門韓国語Ⅰ(箱崎分室)
入門韓国語Ⅱ(箱崎分室)
韓国語表現・読解演習Ⅰ(箱崎分室)
韓国語表現・読解演習Ⅱ(箱崎分室)

担当教員からのメッセージ

韓国語は,世界に約6,000あると言われるさまざまな言語のうち,日本語と最もよく似た言語です。つまり,日本語を知っているということは,韓国語を半分知っているということです。例えば,語順がSOV型で修飾語は常に被修飾語の前に来ること,助詞を用いて格関係を表すこと(しかも格助詞のみならず「は」のようなとりたて助詞もある!ということは「が」と「は」とゼロの使い分けまであるということ!),体系的な敬語が存在することなど,日韓両言語における文法上の共通点は枚挙に遑がありません。これらは皆さんがこれまで慣れ親しんできた英語などとは異なる特徴です。語彙も,日本語の大和ことばに相当する「固有語」の他に,「漢字語」や「外来語」が存在し,知らない単語でも日本語を知っていると類推がある程度可能です。つまり,日本語を母語とする私たちは,日本語の知識を規矩とすることで,例えば日本語を知らない英語話者よりも遥かに速く効率的に韓国語を学んでいくことができます。

しかし,そうはいっても韓国語はあくまでも外国語。日本語と異なる点も少なくありません。例えば,文字と発音は日本語と大きく異なります。何よりもまずハングルを覚える必要がありますし,通じる韓国語,さらには母語話者に間違えられるぐらいの韓国語を話そうとするなら(九大生ならそれぐらいの水準を目指してほしいですね),それはもう血を吐く努力が必要です。また,文法も似ているとは言え,巨細に観察すると,異なる点が数多見えてきます。しかも,その多くは,ただ単に異なるのではなく,漫然と学んでいるだけでは気づかないぐらいの「微妙」な異なり方です。この「微妙なる異なり」を犀利に察知してより自然な韓国語をひとつひとつ丁寧に身につけていくこと。これは単なる韓国語学習という次元に留まらず,逢着した〈日韓対照言語学的な問い〉を自ら解いてゆくということでもあります。授業では,このような知的にして豊かなる問いを皆さんと共にしながら,文化的な側面にも触れつつ,韓国語に深く肉迫していきます。こんなに楽しく知的興奮に満ちたことは他になかなかありません(きっと)。

しばしば誤解されることですが,言語科目は単なる暗記科目ではありません。他の教養科目と較べて記憶すべき事項は相対的に多いかもしれませんが,単語や文法事項を覚えることは言語科目の表層的なひとつの側面に過ぎません。ことばを学ぶことは〈言語学〉という大いなる知の沃野を垣間見ることでもあります。学問的研究の最新の成果に基づいて言語を学ぶことは,教師が研究者としての顔も持っている所,すなわち大学でなければなかなか難しいでしょう。日本語と較べながら,学習言語を体系的に捉える力を涵養することも大学の言語科目の大きな目標です。言語と相即不離の関係にある文化や歴史,文学などへの関心も併せて重要であることは贅言を要しません。

また,非母語を学ぶことは,自身の母語たる日本語を〈自然的な所与〉ではなく,〈意志的な選択〉として捉え,かけがえなき〈自己表現言語〉として引き受け直す契機ともなりえます。非母語を知るために母語を見るのではなく,母語を知るために非母語を見る。このキアスム(chiasme)は重要です。

抑々なぜ皆さんは日本語が話せるようになったのでしょうか。皆さんの意志で日本語を母語として選んだわけでは決してありません。日本語は皆さんがこの世に生を受ける遥か昔から存在していて,幼き日に両親をはじめ,親戚や近所の人たち,幼稚園の先生たちの日本語を聴きながら,皆さんはいつしか日本語話者になったのです。皆さんはもうすっかり忘れているかもしれませんが,周りの大人たちが幼い皆さんに日本語でたくさんたくさん語りかけてくれたから日本語話者になれたのです。それは皆さんが愛されてきた証左にほかなりません。愛なしにことばを習得した人はいません。そういった意味で,ことばは圧倒的に人間的な営みで,いつも母性的な愛を想起させるものです。それは韓国語の場合でも同断です。世界中のありとあらゆる言語がもしかしたら皆さんの母語になっていたかもしれない大切なことば。ことばを学ぶ時間は,母語たる日本語と,もしかしたら母語になっていたかもしれない他者なる「潜在的母語」,さらには自らが愛されてきた歴史や向後出会うであろう友に思いを馳せる時間でもあります。

そして,このようにして身体化された言語のありようは,育ってきた環境,学んできた方法が皆異なるがゆえ,各人で大なり小なり異なります。同じ言語を話す者はこの世に誰ひとりとして存在しません。この確乎たる事実は,皆さんの存在の〈唯一無二性〉,〈代替不可能性〉を強く撐えてくれるものです。そして,各人におけるこうした言語的異なりが,時として誤解や紛紜を招来しつつも,コミュニケーションを激しく駆動するのです。

世には言語を単なるコミュニケーションの手段に矮小化する思想が跳梁跋扈していますが,このように考えを深めてくると,かかる言説がいかに愚昧なものかよく分かるでしょう。ことばは皆さんが想像しているよりも遥かに深く豊かなものです。

目標言語を知悉し,自家薬籠中の物にすることだけが言語学習の目的ではありません。当該言語を〈自動化〉するために鋭意努力することは無論必要です。しかし,当為性のみに基づく言語学習は空虚です。言語科目への自分なりの向き合い方を各々模索しつつ,〈意志的な選択〉として選んだ初修外国語を楽しく明るく学んでいってほしいと思います。初修外国語を自分の中にいかに位置づけるか。〈他者の言語〉を〈自己の言語〉としていかに引き受けていくか。そもそも言語とは何か。言語を学ぶとはいかなる営為なのか…。こうした尽きぬ根源的な問いも,志高き九大生であってみれば,一攷に値するでしょう。 (辻野裕紀)

学生からのメッセージ

・瀧口岳志(経済学部2年)
大学で始める新しい外国語。新入生の皆さんはどこの国の言語を選びますか?韓国という一番近い外国の言葉、韓国語を学んでみませんか。福岡から韓国へは飛行機で1時間で着きます。韓国へは東京に行くよりも近いのです。街中でも韓国語での会話をよく耳にし、地下鉄の構内や大きい店では英語や中国語に並んで韓国語の表示があります。日本、特に福岡にとって韓国というのはとても身近な存在なのです。

韓国語を学ぶときはまずハングルを勉強します。ハングル、というのはあの記号みたいな韓国の文字です。ハングルは母音と子音を組み合わせて作るから、パズルみたいでとっても面白い。「감사합니다」皆さんこれ、何と読むかわかりますか?「カムサハムニダ」です。この言葉、ほとんどの人が聞いたことがありますよね。日本語でいう「ありがとう」という言葉です。この「カムサ」というのは、「感謝」という漢字がもとになっています。なので直訳すると「感謝します」という意味なのですが、「カムサ」と「かんしゃ」言われてみれば似たような発音ですよね。このように韓国語は漢字がもとになってできた言葉も多いから、単語を覚えるのが簡単なんです。例えば、図書館は「トソグァン」道路は「トロ」無料は「ムリョ」気分は「キブン」。単語は覚えやすいし、文の並び方も日本語と同じです。このように日本人にとって韓国語はとても学びやすい言語なのです。

これまでの韓流ブームも冷え込み、日韓関係が悪化している中で、韓国が少し遠い存在に感じてしまっているかもしれません。しかし、古くから今も深いかかわりのある韓国は切っても切り離せない存在です。そして、言葉を学ぶことはその国を理解する第1歩なのではないでしょうか。授業では、韓国の歌を発表したり、韓国語の会話を作って話してみたり、韓国の文化を教えてもらったりと、楽しく学べる環境が整っています。

・金重鶴美(文学部2年)
韓国語母語話者の多くが暮らしている朝鮮半島は日本と古くから文化交流が盛んだった地域です。また、現代では韓流ブームが到来して以来、韓国ドラマやK-POPなどから韓国という国に興味を持つようになった人も多いのではないでしょうか。
韓国語は、日本語と似ている点が多いので、日本語話者にとって学びやすい言語です。例えば、「私は図書館に行きます。」という日本語を韓国語に翻訳すると、「저(チョ)는(ヌン) 도(ト)서(ソ)관(グァ)에(ネ) 가(カ)요(ヨ).」となります。「저(チョ)」が「私」、「는(ヌン)」が「…は」、「도(ト)서(ソ)관(グァン)」が「図書館」、「에(エ)」が「…に」、「가(カ)요(ヨ)」が「行きます」という意味です。このように、語順が日本語とほとんど同じで、「는(ヌン)」や「에(エ)」といった助詞が存在し、「도(ト)서(ソ)관(グァン)」のように日本語と発音の似た漢字語も多いという特徴があります。私自身、大学生になってから韓国語を学び始めましたが、日本語との類似点が多くて楽しく学ぶことができました。

文字はハングルと呼ばれる固有の文字を用いるので、最初は読みにくいと感じるかもしれませんが、2つから4つの音を表す記号を組み合わせてローマ字のように一つの音節を表しているもので、それほど難しくはありません。ハングルは、アルファベットや漢字、平仮名などに比べて比較的新しく、15世紀に作られた文字で、文字が誕生した背景などの考察が可能であり、言語学的にも興味深いものです。

日本と韓国では言葉の使い方が違い、それぞれの国での文化や習慣などが異なります。例えば、日本では両親とはほとんど敬語で話さないと思いますが、韓国では両親を含め、目上の人にはフォーマルな場でなくても敬語で話す傾向があります。これは、家族の在り方などの考え方が日韓で異なり、韓国のほうが親疎関係以上に上下関係を大切にする文化があるからだと思われます。そういった言葉に表れている相違点から、韓国語話者の文化を知ることで、日本語話者の文化を客観的に捉えることができ、今よりも視野を広げることができると思います。

福岡からは韓国へ行くことは、東京に行くよりも近くて安く済むため、韓国に行く機会はこれから身近にあるかもしれません。また、九州大学には韓国出身の留学生も多いので、すぐに使える機会もあると思います。韓国語を学ぶことで、似ているからこそ気づける小さな違いを発見でき、その国の文化や考え方を少しでも理解できるようになるのではないでしょうか。皆さんがこれから大学生活の中で、韓国語の興味深さに少しでも触れて、楽しく学ぶことができるのを願っています。

・春成悠菜(文学部2年)
こんにちは。みなさんの中には、第二外国語を何にしようか迷っている方も多いのではないでしょうか。韓国語は、日本語と似ている部分が多く、とても学びやすい外国語です。韓国語の文字であるハングルは難しそうに見えるかもしれませんが、ハングルはローマ字のように母音と子音の組み合わせでできていて、すぐに覚えることができます。また、先生たちが最初から丁寧に教えてくださるので安心で、今まで韓国語に触れたことがない人にもおすすめできる第二外国語です。韓国は近いのでお金も時間もそんなにかからずに行けます。旅行に行ってみて、自分の韓国語が通じると楽しいと思います。また、韓国に興味がある人、K-popが好きな人にもおすすめです。私もK-popが好きですが、好きな芸能人が韓国語で話していることが聞き取れるとうれしくなります。韓国語がわかるようになると、もっとK-popを楽しめると思います。韓国語だけでなく、韓国について深く学びたいという人は、韓国語フォーラムという授業を取ることができます。韓国語フォーラムでは韓国の伝統文化や慣習、最近はやっていること、芸能人の話など様々なことを知ることができ、クラスも和気あいあいという雰囲気でとても楽しい授業です。韓国語を学ぶことがより楽しく感じられるようになると思います。また、韓国語は他の第二外国語に比べプログラムが充実しています。夏休みや春休みには、それらのプログラムに参加して実際に韓国に行くのもいいと思います。このように、韓国語は学ぶ環境が整っており、またそれを生かすことができる機会がたくさんあります。ぜひ韓国語を学んでみてください。

よくある質問(FAQ)

・韓国語は簡単だと先輩に聞きましたが,本当でしょうか?
まず,言語の難易度には学習者の母語が何であるかということが大きく関わっています。母語が日本語であれば,韓国語は英語などに比べると相対的に学びやすい言語だと言えます。日本語との文法上の類似点が多くあるからです。しかし,学習の最初から「文字と発音」という大きな関門があり(ハングルを覚えなければならない上,韓国語の発音は日本語母語話者にとってかなり難しい),数カ月経つと,「用言の活用」という次なる難所が待ち構えています。さらに学習を進めていくともっと複雑な問題が出てきますが,1年生前期に限っても要諦が2つあるという点では,他の初修外国語と較べて簡単だとは決して言えません。

・韓国語の検定試験にはどんなものがありますか?
韓国語の代表的な検定試験には「「ハングル」能力検定試験」と「韓国語能力試験」があります。前者はハングル能力検定協会が主催する試験で,日本語を母語とする韓国語学習者が受験することを前提にしています。よって,初級や中級では問題文が日本語で書かれていたり,上級では韓日翻訳や日韓翻訳などが出題されるなどの特徴があります。また,解答には南北双方の正書法が認められています。一方,後者は大韓民国政府(教育部)が認定・実施する試験で,世界中のさまざまな言語を母語とする韓国語学習者が受験しています。

・CLPとは何ですか?
CLP(=The 21st Century Challenges in Living Abroad Program)は,中国や韓国への交換留学を検討している者を対象とした,夏休みと春休みの語学研修(中国語・韓国語)です。期間は約3週間で,韓国語の場合はソウルの延世大学校に学生を数名ずつ派遣しています。詳しくは九州大学国際部のサイト(リンク参照)をご覧ください。

リンク

国立国語院
ハングル能力検定協会
韓国教育財団 韓国語能力試験関連ページ
九州大学国際部

▲ページトップへ戻る