第3回JDA九州ディベート大会 B部門決勝
2005年12月18日

肯定側: 長崎選抜MSD(清藤大介、梅原慎吾、平山正太郎)
否定側: 佐賀清和高等学校(上田真梨子、古賀重美)

否定側の勝ち

(下記の文字化は両チームに依頼し作成してもらったものをそのまま掲載しています。)


肯定側立論 梅原慎吾

これから肯定側立論を始めます。定義です。
代理母出産とは子宮に障害がある母から卵子を採取して、受精卵を第三者の母の子宮に預けて、出産してもらう方法とします。

プランは7点です。
1、    日本は代理母出産を認め必要な法整備をし、2010年から施行する。
2、    代理母出産の依頼人は子宮障害があり子供がもてない人、及び不妊症治療を行っているにもかかわらず2年以上子供ができない人である。
3、    代理母になる条件は子供を二人以上産んでいて、精神的、経済的に安定しており、医師による精神鑑定に合格し、健康であること。
4、代理母は、代理母契約の時点で、代理母出産に伴うすべての医学的苦痛(死を含む)を認める。
5、    代理母が出産した子供が障害をもっている、多胎であるなどの場合は謝礼の金額に多少の変化はあるが依頼人は必ず引き取る。
6、    代理母出産に関わるすべての事は代理母出産情報センターを仲介にして行う。
7、    その他はアメリカの法律に従う。

プランを導入することによって発生するメリットを2点述べます。

メリット1は「苦痛からの解放」「苦痛からの解放」です。

現状分析です。現在日本には不妊症で悩み、苦しんでいる人が大量にいます。日本の夫婦の10組に1組は不妊症といわれ、全部で約130万組います。彼女らは子供が欲しくても子宮切除や、不妊症で子供が全くもてない、又は確率が極めて低く、このままでは自分の子供がもてないかもしれません。この苦しみは計り知れません。証拠です。中村はるね著「不妊症」より引用開始。「赤ちゃんが欲しいのに、なかなかできないと、患者さんの気持ちは、だんだん追い詰められていきます。(中略)そうしたストレスは大変なものです。(中略)患者さんの肉体的、精神的、経済的、時間的負担は、かなり大きくなります。」引用終了。こうした人々は不妊症の苦痛から事件を起こすこともあります。証拠です。エクセレンスホームページから引用開始。「1993年に鳥取市で生まれたばかりの乳児が誘拐される事件が起こりましたが、これは逮捕された犯人が不妊症に悩む夫婦であり、人の子を盗んでまでも子供が欲しいとして犯行に及んだ夫婦に対し、非難と共に多くの同情の声が寄せられました。」引用終了。このように不妊症患者はどうしても子供が欲しいのです。証拠です。菰田麻紀子著「代理母出産」の中の代理母出産情報センターの鷲見(すみ)ゆき代表の言葉より引用開始。「何より子供が欲しいという人にとっては、そして子供を作るためのあらゆる努力を行って一度は絶望を感じた方たちには子供がいない人生は考えられないのです。私のところにはそんな悲痛な声、最後の望みを託しに来る人たちがたくさんいます。」引用終了。このように現在子供がほしいのに持てず、絶望を感じている人がたくさんいます。また、もし自分の子供が持てない場合に、代理母出産を求める人もたくさんいます。証拠です。Webサイト「代理母を法的見地から考察する」より引用開始。「厚生労働省の研究班が行った調査によると、「利用したい」あるいは「配偶者が賛成すれば利用したい」という人は全体の43.3%を占めた。99年に行われた調査時よりも、10%以上も増加しており、国民の代理母に対する見方はかなり寛容である。」引用終了。このように現在代理母出産を求めている人、自分の子供が持てなくなったとき代理母出産を求める人がたくさんいるのです。130万組の不妊症患者の43.3%が代理母出産を望むので、現在、権利が剥奪されている約60万組、120万人の権利が尊重されるのです。
発生過程です。プランを導入すると代理母出産が認められるので、日本の不妊症患者は苦痛から解放されます。

重要性は「幸福追求の権利の尊重」「幸福追求の権利の尊重」です。

すべての人間は幸福追求の権利を持っています。証拠です。憲法第13条より引用開始。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」引用終了。また、代理母出産は法的に見ても幸福追求の権利にあてはまります。証拠です。Webサイト「代理母を法的見地から考察する」より引用開始。「代理母出産を用いて子供を作るかどうかは、まさしく個人の自由の範疇に属する事であり、国家による全面禁止、あるいは原則禁止といった包括的な干渉が許されない。(中略)子供を作ること、という行為自体は、個人、或は夫婦の尊厳に関わるものであり、その人格的生存に不可欠な利益を有する権利に基づいている。」引用終了。このようにすべての人が、子供を持ち、幸せになる権利を持っているのです。そして、現在の医療はこの不妊症で子供を持つことができない、つまりこのあたりまえの権利を剥奪された人々に代理母出産という方法で、自分達の遺伝子を持った子供を与えることができるのです。しかし現在の日本では代理母出産を認めていないため不妊症患者は子供が持てず、120万人の幸福追求の権利が剥奪されています。現状分析で述べたように依頼人は他の何よりも子供が欲しいのです。このたくさんの人たちの「ただ子供が欲しい」という願いを、子供を持つ権利を剥奪することは誰にもできません。そして、子供を持つことができたときの幸せははかりしれません。つまり自分の子供をもつことが幸福なのです。この幸福追求の権利を尊重することは大変重要です。

メリット2は「代理母の幸福」「代理母の幸福」です。

代理母になる人というのは幼い頃からボランティアやチャリティー精神を学んでいるのです。彼女らは依頼人に子供をもたせることで自分が幸せになれるのです。証拠です。日本の論点2004より引用開始。「代理母は生まれたての赤ちゃんを依頼人カップルに抱かせてあげる時、彼らがどんな顔をするか、どのように喜んでくれるのかを楽しみと言い、新しい生命を与えてあげたことを誇りに思っているのです。」引用終了。このように代理母出産を認めると代理母も幸せになれるのです。このメリットは大変重要です。

これで肯定側立論を終わります。ありがとうございました。


否定側質疑 上田真梨子

否定:ただいまから否定側質疑を行います。まず、プランについてですが…プランの4点目ですね。死までも認めるということですね。

肯定:はい

否定:肯定側のプランが成り立つ前提としては、代理母を引き受ける人がいるかどうか、ということなのですけど、日本で代理母を引き受けてもいいよ、という人のデータはありますか?

肯定:日本で?

否定:日本で。潜在的に代理母を引き受けるだろうという人数のデータはありますか?

肯定:…

否定:ないですね。では、続いてですが、現状分析のところで、不妊夫婦はストレスのあまり事件まで起こしたという例がありましたが、これはあくまでも一例ですよね。他に事件を起こしたという例はありますか?

肯定:さあ、あるかもしれないし、ないかもしれないですね。

否定:他人の子供でも欲しかったから事件を起こしちゃったということは、子供だったら結局他人の子供でもいいということですよね、この事件の場合。自分達の子供じゃないですよね。

肯定:自分達の子供を作る方法が全くないわけですよ、現状で。だからしょうがなく他人の子供に手を出しちゃったのかもしれません。

否定:しょうがなく、ということは…あの代理母の治療で必ずしも成功するとは限らないと思うのですけど、だいたい…代理母で体外受精を行うのですが、これが成功しなかった場合、肯定側は子供を持つことが幸せだと重要性で言われてますが…

肯定:はい

否定:じゃあ子供を持てなかった場合は幸せにはなれないのですか?幸福追求権は得られない、ということでよろしいのですか?子供を得られなかったとき…

肯定:代理母出産が絶対できないという…絶対失敗するんですか?

否定:まあ、もちろん普通の体外受精ですから、パーセンテージで全部成功するわけじゃ在りませんよね。

肯定:はい。いや、でも失敗してももう一回、ってやったりできないんですか?

否定:もう一回やったとしても、4回以上やったら成功率がだんだんゼロになっていくというデータがありますので、何回やってもできるというわけではありませんよね。

肯定:4回目までに成功する確率は高いと思います。

否定:…じゃあ、続いてですが…代理母の幸福ということですが、日本の論点の例はアメリカの代理母のことですよね。彼女達というのはアメリカ人のことですよね。チャリティー精神を持っているとか…ボランティアを幼い頃からやっているっていうのは。日本の例ではありませんよね。

肯定:いや、資料中には何も述べられていないのでよく分かりません。

否定:まず、代理母、彼女達は、ということは代理母がまだ日本では認められていないから、日本の代理母がボランティア精神を持っていてそれで喜びを感じているという資料自体出てくることがおかしいと思うのですが…

肯定:…はい、そうですね。

否定:これはアメリカの例ですね。

肯定:はい。

否定:では、アメリカではボランティア精神、ということで代理母という文化が根付いているのですが、日本ではボランティア精神で引き受けてあげよう、それで喜びを感じるであろうという人はどれくらいいるのですかね?

肯定:別に日本人だからといって、ボランティアやチャリティー精神を学んでいないということにはならないと思います。

否定:肯定側のプランは、代理母っていうのは日本人だけですか?それとも外国人も認めるということですか?

肯定:出産ができればどちらでもかまいません。

否定:ありがとうございました。


否定側立論 古賀重美


ただいまから否定側立論を始めます。
デメリット1 健康被害
 代理出産が日本社会で認められることで、代理出産を試みる人が増えるでしょう。しかし、依頼者と代理母の心身を傷つけるというデメリットが発生します。

発生過程1 依頼した女性の負担
代理出産のための体外受精ではまず、依頼者の女性から卵子を採取します。そのために排卵誘発剤を使うのですが、排卵誘発剤には深刻な副作用があります。資料です。
信州大学医学部保健学科 玉井真理子のHP 2004年更新より引用開始。
『厚生労働省医薬局安全対策課の報告(平成14年6月25日付)では、1994〜2002年までに排卵誘発剤による副作用321人で440件(ひとりに複数件の副作用がある場合があるため)、うち5名死亡、未回復7名(転帰不明を含む)、後遺障害20名(失語症、半身麻痺、卵巣摘出など)などが記録されている。産婦人科学会による調査では死亡例は1例となっているが、厚生労働省の調査では5例となっている。』(引用終了。

また、体外受精の妊娠率は低いものです。
2005年 発行 ジャーナリスト 小笠原信行著 『どう考える?生殖医療』
引用開始)体外受精と顕微授精についての妊娠率は、日産婦報告によると、採卵あたりで体外受精21.7%、顕微授精20.2%、移植あたりで対外受精26.8%、顕微授精25.7%です。単純に考えると、採卵した5例に1例、うまく受精して移植にこぎつけても4例に1例しか妊娠していないのです。しかも、妊娠しても流産するケースがどちらも23.8%ありました。4分の1近くは流産しているのです。(引用終了

資料の数字で計算すると、まず妊娠率が4分の1、でその4分の1が流産しているので体外受精をして出産までたどりつくのは、たった18.75%です。
このように、妊娠率が低いと、何度も体外受精を試みることになります。そのために採卵を行うことで、依頼者は卵子の数が少なくなり閉経が早まります。資料です。
99年発行 家田壮子著『産めない女に価値はない?』より産婦人科医師 林暁氏のコメント
引用開始)排卵誘発剤で、1周期に20個なり30個なり成熟させていくと、4、5年もつはずの卵がどんどんなくなっていってしまうんです。―中略― 極端な言い回しをすると、それで閉経が早く来て、のぼせ感が早い時期に出、骨粗しょう症も進む。女性の体は、実は、ホルモンのおかげで、本当に強くできているんです。閉経がきて、ホルモンのバランスが崩れると、一気に動脈硬化がくるし、骨の中からカルシウムが抜ける。でも、閉経が早く来るというようなことは不妊治療の先生方は言ってないと思いますよ。排卵誘発剤の使用が、当たり前になってしまって、情報が表に出てきてないんです。(引用終了

このように、代理出産を依頼する女性は健康へのリスクをよく知らないまま代理出産のために体外受精に取り組み、健康を蝕んでしまいます。

発生過程2 代理母の負担
代理出産が合法化されると日本でも代理母を引き受ける人が出てきます。代理母の体と心の両面で負担が生じます。

A 体への負担
しかし通常の妊娠・出産と同じように代理母には生命の危険があります。先ほどの発生過程1の資料で述べたように、流産する確率は4分の1です。また、体外受精では多胎妊娠が起こりやすくなります。資料です。2005年 発行 ジャーナリスト 小笠原信行著 『どう考える?生殖医療』より
引用開始)日産婦報告(2001年)では、体外受精では多胎妊娠数が1298(対妊娠数比19,2%)中略 自然妊娠による多胎率は0.4%程度なので、その40〜50倍もの高率で出現していることになります。

そして、この多胎妊娠は母体にとって危険なものです。先ほどの資料の続きより
引用開始)体外受精による多胎は、妊娠率を高めるために複数個の受精卵を子宮に移植することで起こります。多胎が母子に与える影響は無視できません。妊娠中毒症や早産などが通常分娩よりも大幅に多くなり、生まれてくる子供にも未熟児や障害が増えます。そのため、倫理的にも問題が多い減数手術も半ば公然と行われているようです。(引用終了

このように代理出産を引き受けることで、代理母は通常の妊娠よりも高い命のリスクを負うことになります。

B 精神への負担
また、体だけでなく、次の2つのケースで心に傷を負います。
1 代理出産に失敗したとき
依頼者を助けたい気持ちで引き受けたとしても失敗したときに両者が傷つきます。
資料です。2001年発行 ノンフィクション作家 小泉カツミ著
『産めない母と産みの母』より 産婦人科医師 根津八紘氏のコメントです。
引用開始)善意のもとに始めることなんですけど、その善意ゆえに起こる悲劇もあるでしょう。実際に、最初に代理母出産で妊娠したケースは流産という結果になってしまった。中略
お姉さんのために私が産んであげるよ、と言っていたのに、途中下車しちゃったわけです。もしかしたら自分の注意が足りないからこんな結果になったんじゃないか、と自責の念を持ちますよね。お姉さんにしてみても、妹に悪いことをしてしまったという意識と、裏腹に彼女がちゃんと管理してくれなかったからこんな結果になってしまった、という気持ちもどこかにあるでしょう。中略 善意のもとに行われたことが成就できなかったときほど、お互いの心の傷が大きくなるのですよ。(引用終了

2 依頼者が身勝手なとき
代理母はボランティアのつもりでも、依頼者側は身勝手です。
2001年発行 ノンフィクション作家 小泉カツミ著
『産めない母と産みの母』より
引用開始)出産から一年もすると、ほとんどの依頼者は代理母に手紙を送ることもなくなっていた。一方で成長する子供の写真を見たいと、鷲見に訴えてくる代理母のなんと多いことか。赤ん坊を手放してから、極端に落ち込みカウンセリングを受けなければ立ち直れなかった代理母もいた。(引用終了

深刻性1 健康被害
依頼者も代理母も発生過程で述べたように、健康にリスクを負います。代理出産が成功して子どもを得たら報われるかもしれませんが、成功率は低いのです。また、成功したとしても代理母の心に傷がつくことが起こるのです。長い人生の中で心身の健康が蝕まれることは非常に深刻です。

最後に否定側の判断基準を出します。
判断基準 生きている人の幸せ
否定側は、他人や自分自身を傷つけてまで幸せを得ることには反対します。なぜならば、人生において子どもを得ることだけが幸せだとは限らないからです。たとえ子どもが得られなかったとしても、養子を得たり、自分の仕事に打ち込んだり、夫婦だけの生活を楽しんだりと幸せになれる可能性がたくさんあるのです。それゆえ、否定側は現状を維持し、まだ生まれていない子どもよりも今生きている女性の健康と幸せを守ることが大切だと主張します。


肯定側質疑 清藤大介

質疑 はい。ではこれから肯定側質疑を始めます。よろしくお願いします。

応答 よろしくお願いします。

質疑 まずデメリット1点目についてなんですけど、代理母になる人っていうのは善意で代理母になりたいからなるんですよね?

応答 そういうことになります。

質疑 えっと、あの最初の方で発生過程1で依頼人の女性の負担ということで、依頼人の女性の人は、どんどん排卵誘発剤とかを使うから負担が起きるということですか?

応答 あの・・・

質疑 そうですよね。で、そしたら今不妊症治療っていうのをしてますよね?

応答 はい。

質疑 じゃ、なんで不妊症治療をしてるんですか?

応答 えっと、不妊症治療ってことは子供を産みたいからということなんですけど、その際に使う、あの、体外受精などで排卵誘発剤を使うと言ったじゃないですか。で、それを使う事によって依頼した女性に負担が生じるということです。
質疑 はい。わかりました。デメリット1の最後の方で、健康へのリスクを知らないということを言ってましたよね?証拠はありますか?

応答 えっと・・・証拠はありません。

質疑 普通に考えて、代理母になるっていう時点で、健康へのリスクがあるってことはわかりますよね?

応答 でも、わからない女性もいるかもしれません。

質疑 はい。わかりました。はいじゃあデメリット2点目について、体への負担で、減胎手術したらいけないんですか?

応答 減胎手術?あ、しちゃいけないってわけではないですけど、それに伴う危険性もあるってことです。

質疑 それは言ってませんよね?危険性があるなんて言ってませんよね?体外受精の危険性は言ってますけど、その多胎妊娠の危険性は言ってますけど、減胎手術をしたことによるリスクについては何も述べていませんよね?

応答 はい。そういうことにはなります。

質疑 はい。じゃあ、Bの精神的負担のほうで根津八絋さんの資料を使ってますよね?

応答 はい。

質疑 で、その人って代理母出産を日本で認めた人ですよね?

応答 認めていますが、ですが実際に代理出産を行った事で精神への負担があるって言ってるんだから・・・。

質疑 じゃなんで、なんで代理母出産認めてるんですか?これからも何回もしてますよね?その1件の後にも二例目がありますよね?根津さんは、その精神的負担があったかもしれないけれども、それよりも子供を産んであげる方が大きいと考えたから代理母出産をさせてるんですよね?

応答 そういうことにはなりますけど、ですがこの場合はあの、やったあとにそういう精神的苦痛を行っている女性がいるよっていう一例という・・・。

質疑 はい一例ですね。わかりました。えっと、デメリット2について深刻性で健康被害があると言ってましたけど、あの、Bの方の精神的負担からも健康被害起こるんですか?リンクが証明されてませんよね?

応答 普通に精神的に・・・つまり、あまりにも深いショックがあった場合は健康被害にもなります。

質疑 それは言ってませんよね?はい。では深刻性についてで、その健康被害っていうのは耐えられないものなんですか?

応答 普通、代理出産を行った場合には、否定側立論で言ったとおり・・・

質疑 実際にそれによって、耐えられないほどの苦痛があるという証拠資料はありませんよね?苦痛があるだろうという推測ですよね?

応答 はい。そうです。

質疑 わかりました。これで終わります。ありがとうございました。

応答 ありがとうございました。


否定側第一反駁 古賀重美

ただいまより、否定側第一反駁を始めたいと思います。まず、メリット1苦痛からの開放に対しての反駁です。このメリットが成り立つ前提として子供が授からなければいけませんが、否定側が立論で述べたように、体外受精の成功率は18.75%なので、多くの夫婦はメリットを得られません。
2 また代理母のなり手がどのくらいいるのかということですが、肯定側は、質疑で具体的な数を答えられていません。
 続いて重要性への反駁です。プランを実行すると代理出産ができるようになるということですが、これは不妊夫婦を不妊治療の泥沼に引きずり込みます。資料を引用します。
2004年発行大学教授 柏木恵子著 『子どもという価値』より
引用開始)不妊治療は、心身に多大の負担と苦痛を伴い―中略―そうした周囲からの圧力が、当事者の意志が固まらないまま不妊治療に向かわせることになりかねないでしょう。(引用終了
これは苦痛を受ける夫婦が増えることになるので公共の福祉に反します。よって重要性は成り立ちません。
 次にメリット2の発生過程に反駁します。アメリカに対してのことだったのですけれども、それはアメリカのことであって日本の文化とは違います。代理母はボランティア精神を持っていると言っていますが、質疑で明らかになったようにこれはアメリカ人の例です。
日本とアメリカは文化が違うので代理母がボランティア精神で引き受けてくれるのかは疑問です。で、次なんですけれども、必ずしも代理母は幸せになりません。立論で述べたように、身勝手な依頼者に傷つきます。もう一つ例をあげます。
2001年発行 ノンフィクション作家 小泉カツミ著『産めない母と産みの母』より
引用開始)いくら理屈を並べても人身売買とどこが違うと問いただされてしまうだろう。お金を払ってサービスを受け、商品を手にするーとても人間味の感じられる関係とはいえない。
…よって代理母が…あ、すみません…さっきのはちがいます…すみません、最初から読ませてもらいます。先ほどの資料、2001年発行 ノンフィクション作家 小泉カツミ著『産めない母と産みの母』より
引用開始)そこに人間が存在しているのに、単にお金を出し、その対価としての商品を受け取るような依頼者側−。これは、実際に妊娠を体験しないというリアリティのなさに原因があるのかもしれない。しかし、現実に代理母は自分達の子供を妊娠しているのである。その事実を認識できない想像力の欠如、そして当たり前だが思いやりのなさにほかならない。中略 想像を絶する必死の思いの末の行為を当然のことと思い込む。ここには、生まれてきた子供たちの命への思いはあっても、代理母がかけたはずの命へのいたわりは微塵もない。これでは、いくら理屈を並べても人身売買とどこが違うと問いただされてしまうだろう。お金を払ってサービスを受け、商品を手にするーとても人間味の感じられる関係とはいえない。…よって、依頼者側は幸福論、ということで幸福を満たされても、代理母側は幸福に満たされません。
そして、あのプラン…失礼しました…肯定側は健康被害…すいません、これで終わります。


肯定側第一反駁 平山正太郎

はい。それでは肯定側第一反駁を始めます。まず、肯定側立論について何点か反駁があったのでそれに再反をしていきます。まず、えっと、そうですね、メリットに2点目について再反をしていきます。まずこれはアメリカだけ、アメリカの事例であって、これがはたして日本で起こるのかどうかがわからないという反駁ですが、それならば、アメリカで今起こっている事が日本では起こらないっていう立証を、否定側はなさるべきです。そういう立証責任を果たしていないのでこの反駁は成り立ちません。また次ですが、その代理母っていうのが結局ボランティアじゃなくって人身売買とかそういうかたちでやってるんだよって言っていましたが、これはなかばまあ第3のデメリットみたいなかたちで主張していましたね。えっとちょっと補足として述べておきますけど、この代理出産っていうのは、あまり、その、もらえるお金っていうのは高くないためこれはボランティア精神でやってるってことが証明されます。証拠です。生命学ホームページより引用開始。「代理母には、それほど飛び抜けて高額の契約金が支払われるわけでもないから、彼女たちに金銭以外の動機があると考えてもおかしくはない。」引用終了。ここからもわかるとおり、金銭目的ではなくボランティア精神であるため、これは人身売買ではありません。はい、それでは否定側に移ります。否定側立論の、えっと、まず、依頼した女性の負担についてですが、まず排卵誘発剤の資料ですね。えっと、ここでは排卵誘発剤が危険なんだよっていうふうに述べられていましたが、我々の資料では、最近の療法では、大丈夫、危険はないっていうふうに言われています。オールアバウトHP 「排卵誘発剤について知ろう 不妊治療薬と副作用」イケガミ フミヒロより引用開始 「HMG-HCG療法の仕組み(中略)最近の投与方法は以前に比べて非常に多彩です。先生によっては患者さんごとにその処方内容が違います。テーラーメイドセラピーです。よって多胎やOHSSといった副作用もかなり減ってきております。(中略)不妊を専門とされている先生にとってはよくわかっている副作用なので、きちんと自分の体の状況を伝えておけばまず大丈夫です。」引用終了。よって、我々、えっと、すいません否定側は危険について述べられていましたが、全く排卵誘発剤の危険っていうものはありません。また、体外受精の成功率は低いんだというふうにおっしゃっていましたが、これはまず、体外受精の成功率が0ではないっていうふうに、まず確認をしておきます。また、体外受精をしなければ子供を持つことはできないわけですから、それは、何かしら、絶対一歩踏み出して、体外受精というものを試した方が絶対に子供を持つ確率が増えるわけですから、絶対ましな手段だと考えられます。次に、発生過程2点目に移ります。すいません。代理母の負担です。ここで確認しておきますが、我々は、プランの4点目において、代理母はすべての苦痛を認めるというふうに定めています。それをまず、ご確認してください。次ですが、とんで、深刻性について健康被害、これは、えっと、代理母の負担の精神的負担っていうのと、全く健康被害っていうのはリンクしていません。その、もし精神的負担がストレスになって、健康被害に陥るとなっても、それは立証が必要です。それを立証していません。よって、これはリンクがなされておらず、えっと、Aについて最後に反駁しますが、その多胎妊娠とかそういう可能性がある、そういうふうにおっしゃっていました。しかし、多胎妊娠っていう問題があるならば、減胎手術という方法を取れば全く問題ありません。証拠です。諏訪マタニティクリニックのホームページより引用開始。「1986年に日本で初めて減胎手術を行い、(中略)既に500例を超え、手術手技や安全性等に関しては完成した」引用終了。よって、安全性にも全く問題のない減胎手術をすれば、この多胎妊娠という問題は全く起こらないため、このAっていうものもなくなります。これで肯定側第一反駁を終わります。ありがとうございました。


否定側第二反駁 上田真梨子


ただいまから否定側第二反駁を行います。まず肯定側に対して再反駁をいたします。
まず、デメリットについてですが、デメリット1の発生過程の18.75%の数字を肯定側は認めました。では、仮に代理出産を行ったとして、最終的に成功にいたるのが18.75%だとして計算をしてみましょう。肯定側は現在不妊に悩むカップルが130万人いると言います。そのうちの43.3%が利用したい、と。で、その130万人の43.3%を出して、さらにそれ掛ける、成功率の18.75%を掛けるとすると、出てきた数字はたった、約10万人です。だから、肯定側のメリットの恩恵を受けることができるのはたったの10万人のみで、実際に妊娠に失敗するのは4分の3なんですね。4分の1だけ成功して4分の3は失敗しますから、これはデメリット、子供を得られないで結局体の不調に苦しむ人のほうが上回っています。この点をご確認ください。
また、発生過程2について、まず多胎妊娠については減退手術で問題なしと言っていて、根津さんの資料を引用されていましたが、これはまあ、日本で減退手術をパイオニア的に行っているのが根津さんだけで、他の先生がやった場合、果たして本当に安全かという証明にはなりません。
またデシジョン・クライテリア、否定側の判断基準については、まずノーアタックでした。この点をまずご確認ください。つまり、否定側の主張としては、子供を持つことだけが幸せではない、今目の前にある幸せを大事にしようよ、健康がまず第一だよ、というスタンスでした。で、養親という選択肢も立論の中で入っていたのですが、では結局養親を選択してどのような幸福が得られるのかについて補足資料を付け加えます。
先ほどの『子どもという価値』より
引用開始)養親たちは子供が生まれないことを知ったことを契機に、夫婦関係や生き方について深刻で真剣な検討をしたにちがいありません。―中略―子供が恵まれないという不幸が、普通の夫婦では得難い課題を共有する貴重な機会となっていることも注目したいことです。(引用終了
つまり、子供が恵まれないから、イコール不幸、ということではなくて、それを機会に夫婦のありかたや、命について討論を重ねた結果、より幸せな人生に結びつく例もあるわけです。このことをご確認ください。
では最後に価値の比較を行います。肯定側のメリットとしては子供が生まれるということが大切な権利ということで、幸福追求権を訴えていましたが、これが保障されるのはほんのわずかな人です。で、またメリット2の代理母の幸福については、否定側立論で引用された例がありましたように、たとえボランティアのつもりでも、依頼者側は子供が欲しい、の一念で代理母への配慮が欠けた例があって、それで傷ついてしまうこともあるわけなんですね。ですから、世の中いい人ばかりではありません。傷つく場合もあるので、このメリットは全部が全部成り立つわけではないことをご確認ください。
その一方で否定側のデメリットについては、そのまま現状を維持していれば不要な治療を受けることなく健康でいられるのに、例えば依頼女性だったら排卵誘発剤を使いすぎて、あの…卵子の数が減って閉経が早まるという資料がありましたが、動脈硬化や骨粗しょう症が進むと、ちょっと転んだだけでも骨折して寝たきりになったり、動脈硬化で心臓病や脳卒中になったりで、かなり健康被害が出てくるわけですから、これは人生を送る上で非常に深刻なことです。また、代理母についても、4分の1は流産するということで、流産するということだけで、これは女性の体にとってかなり負担なことですので、健康被害というものは軽視できません。
では比べますと、今生きている人の幸せをまず大切にしましょう。肯定側の子供が生まれるということは、生まれた子供の幸せ…失礼しました。


肯定側第二反駁 清藤大介

はいではこれから肯定側第二反駁を始めます。ではまず否定側について見ていきましょう。否定側のスタンスっていうのは子供を持つことだけが幸せではないと言っていました。しかし、今現在、不妊症治療をしている人が130万組いて、そして代理母のニーズがあるんですね。ということは、その人たちは、130万組の人は子供が欲しいんですよ。子供がほしいっていうことは大変重要なことです。はい、そして今現在、代理母出産をすることによって子供が持てるのです。そちらは、反駁の時点で、なんか10万人しかダメだと言っていました。しかしですね、これは一回の代理母出産をした場合のケースです。これは何回も代理母出産をしていけば何年も経っていけば10万人だけじゃありません。もっと多くの人がなります。そして、10万人っていう数字は少ないんですか?多いですよね?すっごく多い数字だと考えられますよ。だって10万人ですよ。はい、そして、減胎手術についてなんですけど、日本でしている人は根津さんだけだということですけど、神奈川県レディースクリニックというところでもやっていて、200件成功しています。はい、次、えっと、肯定側を見ていきます。はい、肯定側のメリットについては、否定側からは数が少なくなるかもしれないっていう反駁はありましたけど、なくなるということは言っていませんよね。はい、だから最低でも10万人、これから何度もやっていく事によって、10万人以上の人の苦痛がなくなっていくというふうに考えられます。はい、じゃあ、まとめていきます。想像してください。今あなたは結婚しています。そして、自分のパートナーは子供が持てません。あなたは子供を持ちたいですよね?持ちたいですよね絶対に。そして代理母出産をすることによって持てるかもしれないんですよ。自分の遺伝子を持った子供が持てるかもしれないんです。そしたら、それは大変大事なことだと思いませんか?養子でいい。そんなわけないじゃないですか。自分の子供が持てるんですよ。これは大変重要なことです。また、否定側の健康被害。すべて考えて欲しいのは、依頼人も、依頼人が排卵誘発剤で被害をこうむるかもしれない。しかし、まず現在不妊症治療をしている段階で、その被害もわかっている。自分はそれでも、そんだけ被害を受けたと、してもどうしても子供が欲しいというふうに考えてるんですよ。そして代理母についてですけど、代理母もどうしても子供を作ってあげたい。プランで明示してますよね。何点も。そして、この人たちは完全にボランティア精神だけなんですよ。ボランティア精神で、子供が持てない人にどうしても子供を持たせてあげたい。というふうに考えているんですね。そして、その人たちが、リスクを負ったとしても、はい、プランで言ってます。死を含むリスクを負ったとしても、それでも代理母になりたいんですよ。代理母になって子供を持たせてあげたいんですね。この人たちの気持ちは大変重要です。はい、比べていきます。肯定側のメリットっていうのは完全に発生しています。メリット1は完全に発生します。そして、それはなぜなら、今現在、不妊症治療をしている人がいて、そして、代理母出産のニーズが現在ある以上、その人たちの権利が認められることは大変重要な事なので、メリット1は完全に発生します。で、メリット2点目については、デメリットとリンクしています。はい、デメリットの健康被害。1点目、依頼者の女性の負担。これは今現在、不妊症治療をしている段階でもわかっています。よって、子供がどうしても欲しいと言って不妊症治療をしている人なので、健康被害をこうむったとしても別にかまわないんですよ。子供が持てるならば。はい、デメリット二点目について、代理母の負担の方も、メリット2で述べたように、どうしても子供を持たせてあげたい、ボランティア精神、チャリティー精神だけで持たせてあげたいという人の気持ちなので、それによって体に負担があったとしましょう。しかし、減胎手術などの方法を用いる事で、数も少なくなるし、リスクもほとんど少なくなる。よって、完全に代理母も幸福追求の権利ってうのを・・・幸福になれます。そして否定側、一番言いたい深刻性っていうのがわかりませんよね?その健康被害が起きて何が悪いのか、その健康被害は認められないのか、耐えられないのか。耐えられない被害だったらわかりますよ。けど、耐えられないかどうか言ってないじゃないですか。肯定側見てください。肯定側は、子供が欲しくて、欲しくて欲しくてたまらなくて、1993年には鳥取で子供を盗んじゃったんですよ。これは大変ひどい苦痛だと考えられます。よって、えっと、肯定側の議論っていうのは、メリットが完全に発生し、それは、今の苦痛から解放されるという大きなメリットで、否定側のデメリットっていうのは、起こるかもしれない、けれどそれは皆が認めて起こっている事で、メリット2の発生過程にすぎず、深刻性もあいまいである。よって、肯定側の方が多いと考えられます。これで終わります。ありがとうございました。