Genbun News

『言文だより』(九州大学大学院言語文化研究院のニュースをお届けする広報誌です。既刊号はこのページの末尾からPDFファイルでダウンロードできます。)

 

外国語さい。


No. 14Web暫定版 2009820日更新) 印刷版PDFはこちらからダウンロードできます。

学術交流協定調印

200962日、マレーシア科学大学言語・翻訳・リテラシー学部との学術交流協定の調印式が言文研究院長室で行なわれました。

マレー語の集中講義開講

 交流協定調印後の最初の成果として、817日(月)〜21日(金)の期間、マレーシア科学大学(USM)言語・翻訳・リテラシー学部のシチ・ノライニ・ジュプリ教授による集中講義「マレーシアの言語と文化」集中講義が言語文化研究院箱崎分室で開講された。

交流協定の詳細はこちら
  

伊都キャンパスへ移転

 言語文化研究院は六本松地区の移転に伴い、20093月末に新しい伊都キャンパス センターゾーン「比文言文教育研究棟」(写真手前の扇型の建物)へ移転しました。住所は〒819-0395福岡市西区大字元岡744。 



20093月撮影 九州大学HP http://suisin.jimu.kyushu-u.ac.jp/より)

  

新任教員あいさつ

古村由美子(フルムラ ユミコ)

(言語文化研究院 助教 20094月着任)

 4月に言語文化研究院箱崎分室に着任致しました。外国語を学ぶ様々の方々と分室を拠点に交流させていただき、又、留学生の方々も外国語の学習相談に来てくださっています。私は第二言語習得を始め、異文化間コミュニケーション能力開発について研究をしております関係上、こうした機会を通して多くのことを学ばせていただける幸運に感謝しております。どうぞよろしくお願いいたします。

李相穆(イ サンモク)

(言語文化研究院 招聘外国人教師 20094月着任)

 今年度4月から韓国語招聘教師として大学生の韓国語教育に携わっております李相穆と申します。私は東北大学で博士学位を取得し、引き続き同大学でCOEの研究員をつとめました。その後は東京大学にて講師としての2年間半の勤務を経て、九州大学に赴任して参りました。専門は外国語教育方法、教育工学です。今後ともよろしくお願い申し上げます。

   

海外学会報告

11th International Pragmatics Conference

大津隆広

 7月上旬にメルボルン大学で行なわれた第11回国際語用論会議( 11th International Pragmatics Conference に出席しました。メタ表示という認知の枠組みを用いて照応プロセスの全体像を考える科学研究費採択の研究の成果発表をかねて、Procedural Information of Anaphoric Expressions という題目で発表する機会を得ました。今回のパネルは、歴史語用論、ポライトネス、発話行為、談話分析、言語と医療、解放的語用論(欧米により構築されてきたパラダイムに、アジアやアフリカなどの言語と文化を視野に入れようとする最近の語用論)、など例年以上に多種にわたるものでした。

 海外におけるこうした語用論の研究方法は日本国内とは随分異なるため、日本人研究者の中で賛否が分かれました。半世紀ほど前のグライス派による誕生以来、語用論は語用理論の探求と構築という方向へ向かっていたはずなのに、全体としてはデータ中心のパネルとレクチャーが多く行なわれ、メンタルスペースや関連性理論などの理論的枠組みを用いた発表は例年よりも少ないという印象でした。こうした語用論の展開を肌で感じ、言語学におけるゴミ箱と揶揄された時代を思い出したのは私だけではないでしょう。この会議が始まり20年が過ぎました。近年規模が大きくなりすぎて、日本国内の学会と同様に、それぞれの分野による再編が行なわれ、中規模な国際学会が各地で行なわれつつあります。

 インターネットで新型インフルエンザの感染者数の増加をチェックしながらの出張でした。例年よりもキャンセルの掲示が多かったような気もします。メルボルンの冬は一日で四季が巡ると言われるくらい気温の差が激しく、風邪をひいた友人の研究者もいました。検疫を無事に通過した時はさすがにほっとしました。

Linguistic Impoliteness And Rudeness II

古村由美子

 2009630日から72日まで英国ランカスター大学にて開催されたLIAR IIでの発表("A case study of refusal utterances in English given by a Japanese speaker including possibilities to offend the interlocutor")を終え帰国いたしました。初日はGeoffrey Leech教授の講演から始まりました。Whos Afraid of Virginia Woolf (1962)という映画のセリフを題材にして、Politeness理論を土台にImpoliteness理論を構築しようとする試みについての講演でした。引用された主人公の女性の痛烈なセリフがあまりにrudeで、思わず笑ってしまうような非常に明快で興味深い内容でした。

 約120名の発表者の中では、アメリカ合衆国やEU諸国の方々が多く、アジアからの参加者はあまり多くはありませんでしたが、私を含めて4人の日本人が発表しました。その内2人の方は英国留学中で、日本語の談話について発表されました。彼女達を始めとして、スペイン、ポーランド等からの若い研究者の研究意欲に多大な影響を受けました。私は、日本人の英語発話が発話者の意図に反してrudeに受け取られた例を挙げ、その原因の分析を試みました。

 多くの発表者が大学内の同じ宿舎に滞在し、食事時間を含めほぼ3日間生活を共にしながら学会に参加したため、短期間ではありましたが様々な国籍の研究者の方々と親睦を深めることができました。前期授業期間中でありながら、海外の学会参加を許可してくださった言語文化研究院の先生方に心より感謝いたします。

  

生命倫理P&P報告

 2007-08年度九州大学P&P(教育研究プログラム・研究拠点プロジェクト)に採択された「生命倫理を主題とする内容重視の言語指導教材・プログラム開発」(研究代表者 松村瑞子教授)は、学生が専門領域の内容について有意義な発信を行う上で必須の英語運用能力を養成することを目的として、模擬授業、講演会、ディベート大会(次ページの記事参照)、集中講義を開催するとともに、専門分野の教員と外国語教育担当教員が連携して教材およびプログラムを開発しました。成果の一部として次の2冊の教科書を編纂しました。

・『新医療とどう向き合うか―生命倫理の論文を読む』

Let's Practice Debating in English: With Advanced Exercises from Euthanasia Debates

 また、両年度の国際生命倫理ディベート大会のビデオはWebで公開しています。

プロジェクトHP
  

2nd International Bioethics Debate

The 2nd International Bioethics Debate Tournament was held at Kyushu University on March 14th, 2009. The resolution was "Resolved: That Euthanasia Should Be Legalized." At the final round, the affirmative team of Alex Berger (Illinois State University, USA) - Wang Jingyi (X'ian International Studies University, China) defeated the negative team of Cynthia Luo - Aishwarya Nair (Assumption University, Thailand). The tournament followed a 5-day debate workshop by Dr. Joseph Zompetti of the Illinois State University, with participants from Japan, China, Thailand, the U.S., and Taiwan. Both the tournament and the workshop were part of a larger project to develop contents-based foreign language teaching materials about bioethics funded by Kyushu University Interdisciplinary Programs in Education and Projects in Research Development (P&P) and Kyushu University Faculty of Languages & Cultures (FLC).
 Now the final round of the 2nd International Bioethics Debate Tournament can be viewed online:.
International Bioethics Debate 2009 Final Round

More about Bioethics Debate 2008 & 2009
  

2009 Japan-U.S. Exchange Debate

More than two hundred students watched a debate on the resolution that "the Japanese government should prohibit minors from using a cellular phone" at Kyushu University Ito Campus on June 10th, 2009, as part of 2009 Japan-U.S. Exchange Debate sponsored by the Japan Debate Association. The affirmative side was the US Team (Tony Liao, grad student, Cornell University & Christopher Girouard, graduated from Truman State University). The negative side was the Kyushu University ESS Team (Haruka Araki, 2nd-year, School of Economics & Ayaka Tachibana, 2nd-yeart, School of Agriculture). The debate was followed by a lecture "Disembodied Debating: Teaching Argument and the Internet" by Stephen Llano, Assistant Professor, St. John's University (NY), who accompanied the debate team.

(The video is available at: http://vimeo.com/5163257) 
  

ディベートセミナー開催

 200982日(日)に箱崎キャンパスにおいて、言語文化研究院等が共同主催した第7JDA九州ディベートセミナーが開かれ、約20名の学生・社会人が熱心に受講し、スピーチの作成と発表の練習を行いました。講師の上田真梨子先生(佐世保工業高等専門学校講師)に、長年のディベート指導経験を活かし、ディベート学習の導入方法、ディベートの試合を判定する視点、スピーチ作成のポイント、などを説明してもらいました。
詳細はこちら
  

コンテスト利用外国語教育EEP採択

 言語文化研究院の教員が中心となって取り組むプロジェクト「プレゼンコンテストを利用した外国語教育」(申請部局 高等教育開発推進センター、取組実施担当代表 井上奈良彦教授)が平成21年度 教育の質向上支援プログラム(EEP)に採択され、教材開発などを開始しました。この取組は、知識伝達と受容の受動的な教育ではなく、学生自ら情報収集・討論・意思決定・プレゼンテーションをするという情報発信型の能動的学習を奨励する教育システムを目指すものです。本取組の成果は、本学の外国語教育の改善に寄与するとともに、大学教養教育の先駆的な教育方法として他科目や他大学への普及も期待できます。
  

ご案内・お知らせ

公開講座 「小学校から始まる英語教育
                −諸外国との比較−」

 言語文化研究院が担当する九州大学公開講座が小学校における英語教育をテーマに926日から始まります。日本人の英語力や日本の英語教育についてさまざまな議論がなされてきましたが、九州大学の外国語教育に携わる言語文化研究院はこれからの外国語教育のスタートになる小学校における英語教育を考察することにしました。詳細は九州大学のHPをご覧下さい。 


ディベート大会

 1213日(日)に九州大学箱崎理系地区において、言語文化研究院等の共催による第7JDA九州ディベート大会を開催し、出場チームを公募します。詳細はHPなどで発表します。

多言語プレゼンテーション・コンテスト

 2010110日(土)に伊都キャンパスにおいて、言語文化研究院主催の英語プレゼンコンテストに加え、外国語としての日本語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語、スペイン語、ロシア語によるプレゼンテーションを学生から募集し、コンテスト形式の発表会を行います。詳細はHPやポスター等でお知らせします。

コンテスト応募要項などはこちら
   


平成21年度 後期 言語文化研究院箱崎分室開講科目授業時間割

8:40

10:10

英語リスニングI

[ アンスコム飯野 ]

(レベル2

中国語口語II

李 (郁)]

英語会話II

[ アンスコム飯野 ]

(レベル2

10:30

12:00

英語ライティングII

[ アンスコム飯野 ]

(レベル3

英語リーディングII

[ 古村 ] (レベル3

入門中国語II

李 (郁)

フランス語作文コース

[ 羽賀 ]

英語リスニングII

[ アンスコム飯野 ]

(レベル3

13:00

14:30

英語リーディングI

[ 津田 ]

(レベル2

14:50

16:20

入門イタリア語II

[ マローネ ]

入門フランス語

田中 (陽)

速修オランダ語I

[ 田畑 ]

入門インドネシア語II

[ 遠藤 ファビオラ ]

ドイツ語リスニング演習II

[ 田畑 ]

16:40

18:10

ドイツ語表現演習II

[ カスヤン ]

*英語ライティングII

[ホール]

(伊都地区)(レベル3

韓国の言語と文化

[松原]

英語会話I

[ アームストロング ]

(レベル1


入門ドイツ語
田畑 ]
 

*英語プレゼンテーションII

[ ウィークス ]

(伊都地区)(レベル3

英語会話I

[ ブルックス ]

(レベル1

表現スペイン語
フジヨシ ]

英語プレゼンテーションII

[ グイン ]

(レベル3

フランス語実用会話

[ ホスーシュ ]

18:30

20:00

英語リーディングIII

[ 山下 ]

(レベル4

*英語テスト・テイキング

[ ホール ]

(伊都地区)(レベル3

英語会話II

[ アームストロング ]

(レベル2

*英語会話II

[ ウィークス ]

(伊都地区)(レベル2

英語会話II

[ ブルックス ]

(レベル2

英語テスト・テイキング

[ グイン ]

(レベル3

時事スペイン語

[ 柿原 ]

*    箱崎地区旧工学部3号館北棟3階 言語文化研究院箱崎分室にて開講。 ただし、*印は伊都地区センターゾーン:センター1号館にて開講。

*    英語は、レベル別の授業となります。

*    平成21年度後期言語文化自由選択科目開講案内(平成21928日(月)授業開始)

*    受講受付:平成21924日(木)より 
・学部生優先ですが、院生・研究生・留学生・教職員も定員内一定枠で受講可能です。
.英語は、レベル判定によるクラス分けを行います。過去3年以内のTOEFL(九大標準化テスト可)又はTOEICのテストスコアを登録時に持参して下さい。
・言文箱崎分室で行うプレイスメントテストも受験可能です(日程は下記参照)。
・受付詳細、授業内容につきましては、言語文化研究院箱崎分室、伊都地区全学教育教務係及び、各学部学生係にて9月上旬に受講案内書を配布致しますので、入手の上ご一読下さい。

*    ホームページ http://www.flc.kyushu-u.ac.jp/~flcbr/

プレイスメントテスト日時 試験会場 : 言語文化研究院箱崎分室 304教室(旧工学部3号館)

928日(月)

--

(1) 13:00-16:00

(2)18:30-21:30

929日(火)

(3) 10:30-13:30

(4) 15:00-18:00

(5)18:30-21:30

930日(水)

(6) 9:00-12:00

--

--

105日(月)

--

(7) 13:00-16:00

(8)18:30-21:30

106日(火)

--

--

(9)17:00-20:00





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No. 13(2009年3月更新)

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